文字・科学・宇宙とは

「渡り鳥」 ポール・アライ著『Painting Enlightement:Healing Visions of the Heart Sutra』(シャンバラ出版 2019年9月)より抜粋
岩崎恒雄は、科学者としての視点と仏教思想を結びつけた独自の作品を残した画家・書家です。
般若心経の極小の文字を用いて、DNAや原子、銀河、稲妻など、顕微鏡的な世界から宇宙的な広がりまでを描きました。文字を単に読むための記号としてではなく、世界そのものを構成する造形要素として用いた点に、私は強く惹かれます。
その作品には、仏教の「空」や「縁起」に通じる、すべての存在は互いに関わり合いながら成り立っているという世界観が表れています。科学と宗教、文字と絵画、極小の世界と宇宙を一つの画面の中で結びつけたその表現は、書や文字の可能性を大きく広げるものでした。
私は、岩崎恒雄の作品から、文字や線は単に意味を伝えるものではなく、世界を構成し、見えない関係を可視化することもできるのだと学びました。
しかし、その学びを出発点として、これからも「線は、時をつなぐ。」という私自身の表現を探求していきたいと思います。