書・文字とは何か

                           
 

石川九楊は、「文字」を思想として捉えた書家・評論家です。

書とは、単に言葉や形を表現する技術ではなく、筆が紙に刻む「筆蝕(ひっしょく)」という身体的な行為を通して、文字と言葉の意味が生成される営みそのものであると考えています。

一本の線は、単なる造形ではなく、思考や身体、そして自己の表出です。筆が紙に触れ、刻み込みながら進む運動の中に、文字の根源的な生命が宿るという石川氏の思想は、書を新たな視点から見つめ直す契機となりました。

私は、このように文字文化を思想として捉える姿勢に深く影響を受けています。この思想に深く学びながらも、その学びを出発点として、「線は、時をつなぐ。」という私自身の表現を探求し続けたいと思います。